蒼の境界

僕は出不精の様に思われがちだが、実は決まった目的地を持って外に出るのが嫌いなだけで、何となく印象に残った所から広がる未知の領域を、全く当て所なく彷徨うのはむしろ昔から好きな方だった。
表現という自分の心の中の迷路を長々と歩いていると、現実世界の秩序ある道筋を歩むのが酷く滑稽に思えて、時にどうしようもなく道に迷いたくなるからだろうと推測される。

子供の頃世界は広くその限りを知らず、普段見知った道程さえも1本道を違えただけで、その世界は全く色や形を変えた。その場所は自分の生きる世界の中に含まれるゼロ射程の場所だが、本来自分の中には存在していない非在の街、マヨイガ・隠れ里などに等しい世界であり、僕を常に何とも心許なく居たたまれぬ気分にさせ、ちっぽけで矮小な存在に成り果てた様な錯覚を与えていた。
縮こまった僕にはその狭い一本道は夢幻に続く引き返す事の出来ない場所に映っていたからだ。しかし同時に僕は心の何所かでその世界に沈んでいく事が、本当は好きだったのかもしれないと最近気がついた。それは冒頭に書いた様な気分からも明らかだ。

大人になるという事は世界と上手く折り合いをつけていくという事。
世界と和解し大人になった僕は道に迷わなくなり、いつしか世界はその姿を止めた。
そして実は正直今それを堪らなく悲しいと感じている自分がいる。
だから僕はいつも努めて迷い道を探し、懐かしい「あの場所」を求めているのかも。

今日彷徨ったその場所は一面の青、限りなく透明に近い蒼だった。
そこで出逢った人の事はいつか別の機会にまた語って聞かせたい。
そうしてまた僕は今日も一本、道を隔てた向こう側へと還る・・・
2004-05-05 : 未分類 : コメント : 0 :
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